Sep 11, 2010

赤潮による漁業被害への救済を

http://www.shomei.tv/project-1596.html


-転載です-


はじめに私の父は鹿児島県出水郡長島町でブリの養殖業をしています。
長島は、去年に引き続き八代海で発生した赤潮で壊滅的な被害を受けました。
ニュースや新聞で情報を得た方々から『大丈夫?』と気遣いを戴きますが、

それと同時に『(口蹄疫の時の様に)義捐金がもらえるんでしょ?』と、
皆様おっしゃいます。


 しかし、
そういった支援はないのです。
いや、
正確には、去年まではありませんでした。
税金の減免や、緊急雇用、低金利の貸付などの救済策をとっていただきましたが、
各事業者が自力でマイナスを埋めていく現状に限界を感じます。
私は、何度も声を上げ、世論へ訴えようと思いましたが、

ここ長島の漁業関係者の中で世論へ不満や実情を訴え、
状況を打破しようとする動きがない中で声をだす勇気がでませんでした。
 漁業関係者の皆さんと同じ様に私も今まで、
赤潮の発生は自然現象であり、
漁業をする上でこの損害は負うべきリスクなのかと諦めていました。
 でも、171万匹も魚が死んでしまったため港には死魚の臭いが張り付き、
風に漂って海から離れた私の家にまでその臭いが届くほどでした。
仕事の帰り際、風にのって漂う死魚の臭いにこの現状がたまらなくなり、
やはり長島の、漁業従事者の夏をみんなに伝えたいと決心致しました。 
赤潮が発生してから漁業者同士で当番を決め、
朝一番に海の水を汲みに行きます。
その中のシャトネラプランクトンの数を計り、赤潮の発生状況の情報をみんなで共有します。
赤潮の発生時は、風が吹けば、

潮の流れが変わって自分が生け簀を沈めている海域にプランクトンが流れてくるのでは、
雨が降ればまた山から流れた土や木で赤潮が悪化するのでは、、と常に不安を抱えて過ごしました。
寝ている間に、魚が全滅しているかも知れない、
刻一刻と変わる潮や風の状況に心休める時間もなく、
そんな毎日にみんな疲れ切っていました。
対策を何も講じていないわけではなく、
プランクトンの活動やこれ以上の発生を抑えるため、
海の塩分濃度をあげようと海に塩を撒きます。
この広大な海に塩をまく行為がどれだけの効果があるのか、、
 大自然の海を相手にして私達はこんな気休め程度の事しかできません。 
そして、

プランクトンの餌にならない様にする為、
また魚たちが餌を食べようとすることによって酸素の消費量が増え、
プランクトンがエラにつまらないようにする為、魚たちには餌を与えません。
そのため魚たちは約1ヶ月間絶食状態。


ある程度体力のたる大人のブリたちは耐えられても、
稚魚達は栄養失調で発育障害が発生し、
尾ひれが曲がるなどして商品ならないという大きなリスクがあります。


赤潮発生時は毎日ひたすら死んでいく大量のブリを海から上げるのみ、、
今回の赤潮でのブリ、カンパチの斃死数は171万3000匹。
その大量の死骸をどこで処理するのか。
埋め立て処理の場合は地中から湧き上がるガスで近隣住民は死魚の臭いで窓も開けられないそうです。 
今回の赤潮は去年、
過去最悪の被害と言われた赤潮のプランクトンの種子が残っていたことが原因とされ、
今年は昨年をさらに上回る大量発生。
ということは来年も同等に近い被害が想像されます。 
赤潮の原因のプランクトンの大量発生には様々な原因があり、
今年続いた大雨で山や川から栄養分を含んだ水が大量に海に流れ出たこと、
鹿児島に台風が上陸しなくなり海水が混ざらず
 去年のプランクトンの種子が残ってしまったことなど、
環境の変化が目に見えて分かるようになってきました。
台風が来ないのも、大雨が続いたのも、海が富栄養化したのも、全て人が原因。
 しかし、その影響を特に受けるのは自然を相手にする職業の人だけです。
赤潮が去年、今年、と続き、
この海は養殖業が出来る海ではなくなってしまったのかもと悲しくなりました。
 いったいどれだけの漁業者がこの相次ぐ試練に耐え忍び漁業を営み続けることができるのでしょうか。
 過去200世帯の漁業者がいた長島。
養殖ブリの出荷数日本一の看板が町にはあります。
父が育てているブリもその一端を担っているんだと看板を見るたびに嬉しく誇りに思っております。 
しかし、今は相継ぐ赤潮での倒産、
生き残ったもののこれからを危惧し廃業しかつての4分の1の50世帯にまで減ってしまったそうです。 
私たちも助けてほしい。みんな漁業を続けたいんです。
私は漁業とは関係のない仕事をしています。 
でも漁業によって活気のある町が、忙しく行きかう大型トラック、大小様々な船、魚の加工場で仲良く働く地元の人たちが作りだす活気がとてもすきでした。


私が感じている不満は間違いなのかもしれませんが、

それでもニュースでは現場の苦しみや悲しみまで伝えきれず、
こうして現場の声を皆さんが知らないよりは 発信することで漁業について、
赤潮の被害についてみんなが考える機会になればと思い今回このような形でお伝えさせていただきます。 
私は自分が住んでいる鹿児島のことしか詳しく分かりませんが、熊本、長崎の漁業者の方々の心中はおっさし致します。

漁業者が根ざしてきた場所で漁業が続けられるようにこの思いを行政側に届け、

漁業者を救いたい。

この救済を求める署名に皆様のご理解とご協力をお願い致します。




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